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『ここがスゴイよ!音楽祭』vol.5 演奏会〔4〕ヴェルディ「レクイエム」

更新日:2022年05月08日




音楽祭 初演奏!
演奏会4で演奏するのはヴェルディの「レクイエム」。クラシック通から「ヴェルレク」と呼び親しまれている曲で、映画やCMなどに数多く起用されています。特に絶叫するように繰り返される“怒りの日”は、映画『バトル・ロワイアル』や『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』の予告編など、短い時間ながら強烈な印象を残しました。この曲をきっかけにクラシックへの興味が増えた方も多いのではないでしょうか。そんな有名な楽曲ですが、意外にも音楽祭での演奏は初めてです。

大野和士が箱ごと乗り込んでくる
指揮は新国立劇場のオペラ部門芸術監督をされている大野和士さんです。新国立劇場では名作から世界初演の新作まで、世界水準の多彩なオペラを上演しています。世界をまたにかけ活躍を続ける日本人指揮者 大野さんの指揮と、日本で唯一の国立オペラ劇場の専属の合唱団「新国立劇場合唱団」が、文字どおり箱ごと宮崎に乗り込んできます。オーケストラをベースに声楽と合唱が活躍し、当時、「ヴェルディの最新のオペラ」とも言われました。ソリストを務めるのは、音楽祭ではお馴染みのソプラノ歌手、中村恵理さんをはじめ、池田香織さん、宮里直樹さん、妻屋秀和さんと、大野さんが信頼する国内トップ・クラスの歌い手が集結します。

「今だからこそ聴いていただきたい」
「レクイエム」とは死者の安息を神に願うカトリックのミサで用いられる聖歌。この曲を、なぜ“今”演奏するのか。大野さんは1988年、28歳で旧ユーゴスラビアのザグレブ・フィルハーモニーの常任指揮者に就任しました。ユーゴスラビアが内戦に突入した1991年以降も、同地にとどまり音楽監督として活動を継続。空襲で演奏が中断される中、敵対する立場のセルビア、クロアチアの団員と共に演奏会を続行しました。不思議なことに、会場は普段よりたくさんの観客で一杯に。そこで大野さんが思ったのは。


「人間というのは、本当に困難なとき、尊厳が脅かされたときにこそ、アクセサリーとしてではなく、心の底から音楽を聴きたくなるのだ。人間であること、感性を持った動物であることの証明を手にしたいということなのだと思った。人間は感動する特権を与えられた存在。感動し、生きていることを尊ぶ気持ちが脅かされたからこそ、人間であることを確かめに音楽を聴きに来ていた」


ヴェルディの「レクイエム」は、人が人として生きるとはどういうことか、と語りかけてくる音楽であり、目には見えない畏敬の念を劇的な音楽で表現しています。コロナ禍に不穏な世界情勢と、世界が困難に満ちている今、大野さんが選んだこの作品は、皆さんの中に、必ず特別な感動を呼び起こすことでしょう。

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演奏会〔4〕 「喪失と悲哀を越えて」~大野和士が捧げるレクイエム
~日本が誇るマエストロ、音楽祭との出会い

音楽は世界を癒やす 大野和士と出演者が全身全霊で捧げる不滅の鎮魂歌
5月14日(土)開場14:00・開演15:00
アイザックスターンホール
■演奏曲
ヴェルディ:レクイエム
■出演
指揮:大野和士、ソプラノ:中村恵理、メゾソプラノ:池田香織、テノール:宮里直樹、バス:妻屋秀和、宮崎国際音楽祭管弦楽団、新国立劇場合唱団


大野さんが語る演奏会の聴きどころを、劇場のYouTubeチャンネルで公開しています。
公演の前に、ぜひご覧ください♪
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