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『ここがスゴイよ!音楽祭』vol.2 演奏会〔2〕ドビュッシー 交響詩「海」

更新日:2022年04月30日




浮世絵からインスピレーション
演奏会〔2〕で演奏するドビュッシーの交響詩「海」。この曲は、浮世絵師 葛飾北斎『冨嶽三十六景』の中の「神奈川沖浪裏」の波から、インスピレーションを得て描かれたと言われています。フランス生まれの作曲家であるドビュッシーのジャポニスムがふんだんに現れた作品ではないでしょうか。当時、フランスで流行したジャポニスムの影響もあったのかもしれません。初版のオーケストラスコアの表紙には、その波の絵が使用されました。1905年に出版されたものですが、その色使いなどのセンスは、さすが流行の先端をいくフランス、といったところでしょうか。ちなみに、作曲家のサティが撮影した、ドビュッシーとストラヴィンスキーのツーショット写真が残されているのですが、その部屋の後方には葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」が飾られているのです。


葛飾北斎『冨嶽三十六景』の中の「神奈川沖浪裏」(Wikipediaより)


(左)ドビュッシー (右)ストラヴィンスキー 撮影:サティ(Wikipediaより)

『凪』=『静寂』
指揮を執るのは指揮者の大野和士さん。この曲は大野さんのお気に入りの曲でもあるとのことです。タイトルにもあるように「海」が題材ですが、時間とともに変化する無限の波の色、香り、光を絵筆で写し取るように、きらめく音色と移りゆくリズムで描いた、美しい作品です。そして、大野さんは二つとして同じ形がない波の中で、特に『凪』の部分に魅力を感じているそうです。『凪』は、「静寂」という言葉に置き換えてもよいのですが、この日本の「ま」にも通じる「静寂」こそドビュッシーの芸術の神髄。是非、耳をそばだてて音色の変化を感じていただきたい、とのことでした。

聴かないなんてもったいない
国内の主要プロオーケストラのコンサート・マスターと首席奏者で編成する、宮崎国際音楽祭管弦楽団と大野和士さんが、宮崎のホールでどんな絵画を描き上げるのか。これは宮崎に住んでいるなら絶対に聴き逃してほしくないプログラムです。

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演奏会〔2〕 「大野和士の世界」
~日本が誇るマエストロ、音楽祭との出会い

大野和士、待望の音楽祭初登場! 宮崎国際音楽祭管弦楽団と奏でる、光と色彩の豊穣な響き
5月8日(日)開場14:00・開演15:00
アイザックスターンホール
■演奏曲
ラヴェル:「クープランの墓」
バルトーク:ピアノ協奏曲第2番 Sz.95*
ドビュッシー:管弦楽のための映像より「イベリア」
ドビュッシー:交響詩「海」 - 管弦楽のための 3 つの交響的素描 -
■出演
指揮:大野和士、ピアノ:ジャン=エフラム・バヴゼ*、宮崎国際音楽祭管弦楽団



大野さんが語る演奏会の聴きどころを、劇場のYouTubeチャンネルで公開しています。
公演の前に、ぜひご覧ください♪
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