宮崎国際音楽祭について

総監督ごあいさつ

宮崎国際音楽祭総監督 佐藤寿美

宮崎国際音楽祭総監督
佐藤寿美

 今年の音楽祭は平成から令和へ、次の時代の節目にまたがるかたちで開催されます。そのことに思いを致しながら、「音楽は世代を超えて」という考え方で22日間のプログラムを組みました。それは四半世紀を経てきた音楽祭のこれまでとこれからを考えることでもありました。始まったころ中心になって音楽祭を支持し応援していただいた50代のお客様たちが今は70代です。スターンさんから始まった出演者の顔ぶれも、平成生まれの若い演奏家たちが続々と登場しています。聴く側も演奏する側も、ともに世代を超えて更にいい時代を目指す、そういう節目の音楽祭になればと考えました。

 辻井伸行さんと三浦文彰さん、新世代を代表する二人のコンサートに始まって、終盤のポップス・オーケストラにはミュージカル界の若きスター、井上芳雄さんが登場します。一方では巨匠たち、ズーカーマンさんやマイスキーさん、そしてキュッヒルさんたちが、音楽祭ならではの重厚華麗な演奏を聴かせてくれます。ズーカーマンさんと三浦文彰さんが共演する中盤の演奏会『巨匠と若き後継者』は、音楽祭管弦楽団もあわせて、まさに世代を超えて続く音楽の魅力を存分に楽しんでいただけるでしょう。

 現代音楽に焦点をあててお届けしている『エクスペリメンタル・コンサート』に、今年は西田ひかるさんがナビゲーターで初参加です。『Oh!My!クラシック』には大女優の草笛光子さんが登場します。85歳の年輪、波乱万丈の物語と驚異の若さの秘訣などを心地よい音楽を挟みながら楽しんでいただきます。ポップス・オーケストラは懐かしの「ウエストサイド物語」をはじめとする、作曲家バーンスタインの特集です。宮川彬良さんの軽妙なトークと指揮がアメリカ映画音楽の魅惑の世界へ誘います。音楽祭最後を飾るのはオペラ「ラ・ボエーム」です。誰もが心のうちに留める甘く切ない青春の思い出、その光と影…昨年の「蝶々夫人」に続くプッチーニの作品ですが、今年も福井敬さんや中村恵理さんの熱唱にたくさんの方が涙されるのではないでしょうか。

 これまで音楽祭に足を運び熱心に支えていただいた方たちが、お子さんやお孫さんたちの世代と一緒にお越しいただく音楽祭。綿々と積み重ねてきた心に響く音楽の伝統と、新しい時代の音楽の魅力を、世代を超えてお楽しみいただく、第24回宮崎国際音楽祭の開幕です。