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【公演レポート】- サテライト・コンサートⅡ in 小林 - The Rev Saxophone Quartet (ザ・レヴ・サクソフォン・クヮルテット)

更新日:2022年05月09日

5月5日は劇場を飛び出して小林市文化会館にてコンサートを開催しました。この公演はチケットが早い段階で完売になり、会場には楽器を抱えた学生の姿もみられました。



出演はソプラノ・サクソフォンの上野耕平さん、アルト・サクソフォン 宮越悠貴さん、テナー・サクソフォン 都築惇さん、バリトン・サクソフォン 田中奏一朗さんです。まずはクレリス作曲「かくれんぼ」、ボザ作曲「アンダンテとスケルツォ」が演奏され、サックスの抜けるような快活な音色に、会場のテンションは一気に高まりました。



The Rev Saxophone Quartetは2013年に結成。昨年スタートした会員制のファンクラブでは、リハーサルやコンサートの裏側を紹介したり、クヮルテットのために編曲された楽譜をご自身たちの練習時の書き込み入りで販売したり、と様々なチャレンジをされているそうです。MCでは、「休憩中も休む暇はありません!CDを販売しています!」などちゃっかり“商売上手”なトークに会場には笑いが起きていました。そんな和気あいあいとしたトークも楽しみつつ、3曲目のクライスター作曲「愛の悲しみ」では、つややかでしっとりとしたサクソフォンの音色が会場を魅了します。哀愁を帯びた豊かな響きに、会場の皆さんはじっと聴き入っているようでした。



前半最後の曲では坂東祐大 作曲の「Mutations:A.B.C.」。“Mutations”は“突然変異”という意味。“A.B.C”はアルファベットを覚える際にもおなじみの「きらきら星」のことです。上野さんがおっしゃるには、「気持ち悪いけど気持ちいい、病みつきになる曲!」。実際の演奏では、破裂音のような音や、口笛も。随所に「きらきら星」の旋律が挿入されていて、可愛らしい曲かと思いきや、緩急鋭い超絶技巧のような奏法に、思わず「かっこいい・・・!」とため息が。サクソフォンの可能性を追求したような、実験的ともいえる曲に興奮気味のまま休憩に入りました。

 
 

休憩を挟んだ後半の2曲は、どちらも聴き応えのあるアレンジです。まずはバッハ作曲「クラヴィーア練習曲集 第3部より 」。「クラヴィーア」とはドイツ語で「鍵盤楽器」という意味です。サクソフォンとパイプオルガンの音色は似ていると話す上野さん。サクソフォンならではの色気のある響きもあり、美しい四重奏の音色に酔いしれました。

 

ベートーヴェン作曲のピアノソナタ第23番「熱情」ではベートーヴェンの「三大ピアノ・ソナタ」ともいわれる傑作を、なんと4本のサクスフォンで演奏するというもの。「これをサクソフォンで弾くの?」と思われると思いますが、都築さんはずっとベートーヴェンの曲を4人で演奏してみたかったとのことで、旭井翔一さんがThe Rev Saxophone Quartetのためにアレンジしました。4人の技巧が光る、圧巻の演奏でした。

 

終演後に感想をお伺いしたのでご紹介します。ニックネーム“綾夏ちゃん”さん。「最後の曲が20分以上あって、汗をたくさんかかれて演奏されたのに、さらにアンコールで3曲も演奏してくださって、サービス精神にびっくり、うれしかったです。バッハではサクソフォンはパイプオルガンに似た音だというお話の通り、風を扱うという共通点のある楽器だからか、たしかに似ている!と感じることができました。4つのサクソフォンの高い音と低い音を活かしていて、魅力的な編曲でした!」と楽しそうにお話しくださいました。
ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました。(広報H)
photo:K.Miura

- サテライト・コンサートⅡ in 小林 -
The Rev Saxophone Quartet (ザ・レヴ・サクソフォン・クヮルテット)

R.クレリス:かくれんぼ
E.ボザ:アンダンテとスケルツォ
F.クライスラー:愛の悲しみ
坂東祐大:Mutations:A.B.C.
J.S.バッハ:クラヴィーア練習曲集 第3部より
L.V.ベートーヴェン:ピアノソナタ第23番「熱情」
アンコール
J.S.バッハ:G線上のアリア
R.プラネル:バーレスク
J.フランセ:小四重奏曲より Ⅲ

[The Rev Saxophone Quartet]
ソプラノ・サクソフォン:上野耕平
アルト・サクソフォン:宮越悠貴
テナー・サクソフォン:都築惇
バリトン・サクソフォン:田中奏一朗