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ぷれぽ

公演レポート 徳永二男&京谷弘司 タンゴの魅力

更新日:2021年08月18日

8月11日(水)、「徳永二男&京谷弘司 タンゴの魅力」を開催しました。宮崎国際音楽祭の音楽監督でもあるヴァイオリンの徳永二男さんを中心に、アルゼンチンタンゴの巨匠アストル・ピアソラから絶大なる賛辞を受けたバンドネオン奏者の京谷弘司さんをはじめ、タンゴの演奏に定評のあるピアノの淡路七穂子さん、ベースの田辺和弘さんの4人による演奏です。  淡路さんと徳永さんの二人による演奏からスタート。C.ガルデル作曲の「エル ディア ケ メ キエラス(想いの届く日)」のゆったりとした甘いメロディで会場中をタンゴの世界へと誘いました。
 「タンゴといえば主役はもちろんバンドネオンですね」と徳永さんがバンドネオンの京谷さんをお呼びしました。ベースの田辺和弘さんも一緒に入場し、いよいよ4人によるコンサートがスタート!
 2曲目はE.サボリード作曲の「フェリシア(幸せ)」。バンドネオンとヴァイオリンのユニゾンが、鋭く気持ち良いメロディを奏で、パーカッシブなベースと力強いピアノがタンゴ独特のノリを生み出しました。
 その後もノンストップで演奏は続き、前半終了。
 休憩中、ホワイエのソファでお話ししているご夫婦を発見。手でバンドネオンを演奏するジェスチャーをしていたように見えたので、お声がけさせていただきました。
-印象的なシーンは?
「バンドネオンという楽器を生で初めて聴きました」とお二人ともバンドネオンに興味津々。「今テレビでもよく取り上げられて聴いていて、生で聴けてすごいよかったです。フェリシアという曲が、初めて聴いたんですけど印象的でした」と奥様。「知っている曲だからかもしれないけど、荒城の月も印象的でした」と旦那様もお話しいただきました。
-タンゴ自体は初めてですか?
 「初めてでした。楽しかった~。なんだか周りで人が踊っているような光景が浮かんできました」と、タンゴを心から楽しんでいただいている様子でした。お話を伺ったスタッフもうれしくなるようなお言葉をたくさんいただきました。ご協力ありがとうございました!

 後半1曲目は京谷弘司さん作曲の「モノローグ」京谷さんによるバンドネオンソロでスタート。バンドネオンの魅力を存分に味わっていただきました。高く鋭い音のイメージがありますが、太く低い音も出すことができ、一つの楽器とは思えない豊かな響きを奏でます。そして手を小刻みに震わせて音の揺らぎを作るなど、バンドネオンの表現力の高さに気づかされました。
 1曲目が終わると、徳永さんのMC。「150年前ブエノスアイレスにて生まれた音楽がタンゴ。ワルツやハバネラなどがミックスして始まったのだそうです。タンゴの主役はなんといってもバンドネオン」と、バンドネオンの演奏の難しさ、なぞの多い楽器内部の構造など『悪魔の楽器』と呼ばれる所以について解説しました。さらに、「あのビブラートの表現はどうやっているんですか?」と質問すると、京谷さんは「歳で勝手に手が震えてしまうんです」とジョークもはさみ、会場に笑いが起こりました。
 さらにタンゴの達人・コントラバスの田辺さんからは、タンゴならではの特殊な奏法も紹介。楽器のボディを叩いたり、弦を弓で叩きつけるなど、まるでパーカッションのような役割で、演奏に迫力を与えています。
 ピアノの淡路さんからは「タンゴでは、特に左手が重要で、力強く演奏します。最初のころは何度も腱鞘炎になったりしました。」と、苦労話もこぼれました。
 その後も京谷さん作曲の曲をはさみながら、ひたすらタンゴを演奏。その数アンコールも含め21曲!最後はピアソラ作曲の「チキリン デ バチン(バチン食堂の花売少年)」、「アディオス ノニーノ(さよならお父さん)」、「ベラーノ ポルテーニョ(ブエノスアイレスの夏)」を演奏しました。哀愁漂うピアソラのタンゴの演奏に、アンコールを求める拍手は大きいまま鳴りやみませんでした。アンコールは「チケ」「リベルタンゴ」。そしてラストの「ラ クンパルシータ」の時には3曲も!?という驚きと喜びで、会場がどよめきました。
 生で聴く本格的なタンゴの演奏会。あの独特のリズムやバンドネオンの音色が癖になってしまった人もきっと多くいらっしゃることでしょう。(広報S)

【曲目】
C.ガルデル「エル ディア ケメ キエラス(想いの届く日)」
E.サボリード「フェリシア(幸せ)」
A.ビジョルド「エル チョクロ」
R.ガレージョ「マルガリータ デ アゴスト(8月のマルガリータ)」
ヤコブ・ガーデ「ジェラシー」
滝廉太郎「荒城の月」
京谷弘司「アルシーナ」
A.アグリ「デス デ アデントロ(心から)」
M.モレス「ウノ(人は・・・)」
****休憩****
京谷弘司「モノローグ」
セリージョ/オワール「メロディア オリエンタル(東方のメロディー)」
京谷弘司「シエンプレ アブエノスアイレス(いつもブエノスアイレスに)」、「レコルダシオン(回想)」
J.プラサ「パジャドーラ(吟遊詩人)」
スカルピーノ/Jカルダレーラ「カナロ エン パリ(パリのカナロ)」
A.ピアソラ「チキリン デ バチン(バチン食堂の花売少年)」、「アディオス ノニーノ(さよならお父さん)」、「ベラーノ ポルテーニョ(ブエノスアイレスの夏)」
アンコール:A.ピアソラ「チケ」「リベルタンゴ」「ラ クンパルシータ」

Photo:K.Miura