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公演レポート&インタビュー
―演奏会〔5〕 プッチーニの世界「誰も寝てはならぬ」―

更新日:2021年08月22日

 初めて真夏の開催に挑んだ第26回宮崎国際音楽祭。ラストを飾ったのは、演奏会〔5〕 プッチーニの世界「誰も寝てはならぬ」。第20回の音楽祭で初めてオペラ(演奏形式)を上演して以降、「トスカ」「椿姫」「蝶々夫人」「ラ・ボエーム」などさまざまなオペラの演目で開催してきました。今回は、初めて音楽祭で上演した際に大好評を博した、歌劇『トゥーランドット』の再演です。指揮は宮崎国際音楽祭管弦楽団からの信頼も厚い広上淳一さんが務めました。
 上演前に行われた広上さんと徳永音楽監督によるプレトークでは、最終日を迎えるにあたり、これまでの演奏会について振り返る場面もありました。徳永音楽監督からは、初めて音楽祭にお迎えしたレーピンさん、ザハロワさんをはじめ、出演者の素晴らしい演奏、パフォーマンスに対しての賛辞の言葉が送られました。
 また、これから演奏する「トゥーランドット」の話に移ると、「この素晴らしい音楽を、ここ宮崎で演奏できることが幸せ」と広上さん。「日本人の世界クラスの歌声を味わい、豪華絢爛なオーケストレーションを堪能していただきたい」と続けました。
 「緊張した生活の中、このひとときだけでも、心の安らぎを感じてほしい」、「一瞬の時間だけれども楽しんで、また元気に普段の生活に戻っていただきたい」と語られたお二人の言葉がとても印象的なプレトークでした。




 今回上演する「トゥーランドット」の舞台は北京。絶世の美女ですが冷酷な皇帝の娘トゥーランドット(ソプラノ・田崎尚美さん)と結婚するには3つの謎を解くことが必要で、謎が解けなければ、首をはねられてしまう決まりがありました。トゥーランドットに恋をしたダッタン国の王子カラフ(テノール・福井敬さん)は謎解きに挑戦すると言い出します。カラフの生き別れた父ティムール(バス・伊藤純さん)に仕えていた女奴隷リュー(ソプラノ・中村恵里さん)は、ひそかにカラフを慕っており挑戦を制止しますが……。
 このほかに、拷問を担当するピン(バリトン・迎肇聡さん)、パン(テノール・清水徹太郎さん)、ポン(テノール・竹内直紀さん)、アルトゥーム(バリトン・浅井隆仁さん)、そして役人(バリトン・平欣史さん)、宮崎国際音楽祭合唱団が出演しました。

 今回の公演ではコンサート形式で全曲を上演しました。字幕もあったので、よりプッチーニのオペラの世界を理解して感じることが出来たのではないでしょうか。そしてバルコニーには宮崎国際音楽祭合唱団と別働隊の金管楽器が配置されました。金管楽器が舞台上とバルコニーにそれぞれ配置されているのは、場面転換や舞台の奥行きを表現する狙いもあります。頭上から金管楽器の響きと合唱団の歌声が降り注ぎ、舞台からはオーケストラと歌声が飛び出してきました。場面が進むごとに舞台の熱は上がり、トゥーランドットを演じる田崎さんやカラフの福井さんたちの情感こもる肉声は、会場の端々まで届きました。








 広上さんが指揮を執る舞台は歌声、オーケストラ、合唱の音の厚みが目の前に飛び出してくるような迫力で、アイザックスターンホールの響きの良さをこれでもかと活かし、演奏者たちの奏でる濃厚な音に客席はただただ息を呑むばかりでした。
 アンコールには出演陣が勢揃いし、三幕のラストが演奏されました。通常は合唱のみで終演しますが、ソリストたちも揃って歌うエンディングは圧巻の迫力。鳴り止まない拍手に“ブラボー”と、お客様の心の声が客席から聞こえてくるようでした。




 終演後に伺った感想をご紹介します。高鍋町からお越しのご夫妻で、「中村さんと福井さんが出演するときいて、本当に楽しみにこの日を待っていました。広上さんの指揮をする後ろ姿もチャーミングで素敵でした。音の洪水を体中に浴びて素晴らしいひとときを過ごしました」とお話しくださいました。インタビューへのご協力、ありがとうございました。

【出演】
プッチーニ:歌劇『トゥーランドット』(全曲) ※コンサート形式/字幕付き
トゥーランドット:田崎尚美(ソプラノ)
カラフ:福井敬(テノール)
リュー:中村恵理(ソプラノ)
ティムール:伊藤純(バス)
ピン:迎肇聡(バリトン)
パン:清水徹太郎(テノール)
ポン:竹内直紀(テノール)
アルトゥーム:浅井隆仁(バリトン)
役人:平欣史(バリトン)
指揮:広上淳一
宮崎国際音楽祭管弦楽団
宮崎国際音楽祭合唱団(宮崎県合唱連盟有志)

 7月31日から16日間にわたり、第35回国民文化祭・みやざき2020のフォーカスプログラムとして開催した第26回宮崎国際音楽祭。新型コロナウイルス感染症の影響により、苦しい選択を強いられ、ご来場のお客様にもご不便をおかけしてしまうことも多々ございましたが、たくさんの笑顔と皆さまからの応援・感謝のお言葉を頂戴いたしました。音楽祭を最後までお届けする励みとなりました。心より感謝申し上げます。
 また来年度、音楽祭で再び皆さまと笑顔でお会いできることを祈っております。(広報H)


Photo:K.Miura