総監督ごあいさつ

宮崎国際音楽祭総監督 青木賢児
Kenji Aoki

東日本大震災は、日本の広い地域に想像を絶する被害をもたらしました。

今なお多くの方々が、住むところや仕事を失ったまま、希望の持てない生活を強いられています。今年が名実ともに災害復興元年となりますように、心からお祈りいたします。

大震災直後には、全国ほとんどのホールで催し物の開催が困難になりましたが、第16回宮崎国際音楽祭も中止の一歩手前まで追い込まれました。しかし、ピンカス・ズーカーマンや諏訪内晶子をはじめとする演奏者と、聴衆の皆様の絶大なご協力のおかげで、奇跡的に難局を乗り切ることが出来ました。

そして今年、第17回宮崎国際音楽祭には、ピンカス・ズーカーマンと諏訪内晶子の再演に加えて、ジュリアン・ラクリンが参加することになりました。

考えてみますと、初代の音楽監督だったアイザック・スターンは28才離れた愛弟子ズーカーマンを同道して宮崎で競演しましたが、今回の音楽祭では世界の巨匠となったズーカーマンが、25才ほど離れた諏訪内晶子とジュリアン・ラクリンという新世代のヴィルトゥオーゾと競演することになります。宮崎国際音楽祭がたどってきた、素晴らしい系譜を思わずにはいられません。

クロアチア共和国最大の観光地ドブロニクでは、毎年夏に「ジュリアン・ラクリンと仲間たち」という音楽祭が開催されていますが、今年の宮崎国際音楽祭にはドブロニク音楽祭からラクリンとともに三人の若い演奏者たちが参加してくれます。宮崎国際音楽祭の国際的「絆」が、またひとつ広がることになります。

クラシック界を代表する弦楽器の名手たちによる今年のプログラムは、17年にわたる宮崎国際音楽祭の歴史に、さらに新しい記録を書き加えることになるでしょう。

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