第6回 宮崎国際室内楽音楽祭 2001年5月2日(水)〜5月15日(火)

新たなる世紀への響き


新世紀に新たな第一歩。
リゾート宮崎の新緑の季節に、今年もまた音楽の花が開きます。
 「第6回宮崎国際室内楽音楽祭」が5月に開催されることが決定しました。おかげさまで、1996年にスタートして以来、数多くの方々のご支援とご協力をいただき、リゾート宮崎を彩る春のイベントとして、すっかりお馴染みとなりました。
 今年の音楽祭では、世界最高のヴァイオリニストのアイザック・スターン氏をはじめ、三十余年にわたりベルリン・フィルの第1ソロを務めたクラリネット奏者、カール・ライスター氏、すぐれた技巧と豊麗な音色で絶賛を博しているヴァイオリニスト、ピンカス・ズーカーマン氏、明るい音色、歯切れよいリズム感、ベトナムが生んだ世界的ピアニスト、ダン・タイ・ソン氏、心を打つ演奏とテクニックをもつピアニスト、ジョーゼフ・カリクシュタイン氏らをゲストに迎え、宮崎県立芸術劇場コンサートホールを中心に室内楽の真髄とその魅力をお届けいたしました。
 第6回音楽祭では、メインの演奏会となる「2001プログラム」のほか、出張コンサートや野外コンサートなどの「スペシャルプログラム」、アジア地域の次の時代を担っていく若手演奏家を対象とした講習会などを行う「教育プログラム」など多彩なプログラムが行われましたが、これまでの実績を踏まえ、更に充実したラインナップとなりました。
 華やかな重厚さ、そして豪快かつ繊細な演奏を凝縮し、更にスケール・アップした音楽祭になりました。

 演奏会の見どころ 聴きどころ
演奏会[1] 協奏曲の夕べ
豪華メンバーによるオープニング。

 今回の音楽祭は華やかな協奏曲によるオープニングとなりました。お届けするのはヴァイオリン、クラリネット、オーボエによるモーツァルトとJ.S.バッハの協奏曲計4曲。ソリストを務めるのは、国内外での活躍が著しい若手のヴァイオリニスト服部譲二、世界屈指のクラリネット奏者カール・ライスター、音色の豊かさと多彩さが魅力のオーボエ奏者宮本文昭、現代のヴァイオリンの巨匠と言われるピンカス・ズーカーマン。この音楽祭初参加の人気アーティストが次々と登場しました。夢のような豪華な合奏団とソリストの共演をお楽しみいただきました。
 モーツァルトの『クラリネット協奏曲』では、ライスターの務めるソロ・クラリネットと管弦楽、特に低弦楽器が室内楽的に緊密にからみ合うところが聴きどころ。また、モーツァルトの『オーボエ協奏曲』の第3楽章の第1主題は馴染み深い旋律であり、歌劇「後宮からの逃走」にも用いられています。J.S.バッハの『ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調』は、2台のチェンバロのための協奏曲からの復元版というかたちのものですが、宮本文昭とズーカーマンの共演がとてもすばらしいものでした。

●ご存知ですか?

後半でソリストを務めるオーボエ奏者の宮本文昭は、NHK朝の連続テレビ小説「あすか」のテーマ曲の演奏者です。

演奏会[2] モーツァルトの午後
世界的ヴァイオリニストとピアニストが奏でるモーツァルト。

 ゴールデンウィークの1日をマチネーでお過ごしください。サブ・タイトルのとおり、モーツァルトの名曲3曲をお届けします。『交響曲 第35番「ハフナー」』は、ザルツブルクの富豪ハフナー家の婚礼のために書かれたものです。『ピアノ協奏曲第23番』は、慈愛に満ちた旋律の溢れる第2楽章、快活なロンド形式の第3楽章が魅力的であることから、モーツァルトのピアノ協奏曲の中でも、演奏会で取り上げることの多い曲のひとつです。『ヴァイオリン協奏曲 第5番』は、モーツァルトの作曲した最後のヴァイオリン協奏曲と言われています。第3楽章でピアノ・ソナタのフィナーレに似た東洋風のエキゾチックなリズムと旋律が用いられており、このため、”トルコ風”という副題が付けられています。
 ソリストには、演奏会[1]に引き続き出演するピンカス・ズーカーマンに加え、ベトナムが生んだ世界的ピアニストのダン・タイ・ソンも登場しますので、見逃せない演奏会のひとつです。
 これまで同様、この音楽祭のための合奏団はソリストたちによる”世界一”のアンサンブルですが、今年はこれまでの最大の編成によるオーケストラとなりましたので、注目でした。
 また、この日は、演奏会[2]のチケットをお持ちの方を対象に、プレ・コンサートを行いました。

●ご存知ですか?

演奏会[2]のプレ・コンサートに出演するストリング・クヮルテット「Arco」は、第3回宮崎国際室内楽音楽祭・室内楽講習会受講グループです。(※現在のメンバーは、ヴィオラが柳瀬省太に変更。)

■プレ・コンサート

”音楽祭が紹介する期待の新星”ストリング・クヮルテット「Arco」リサイタル
 ◎開場/午後1時15分 ◎開演/午後1時45分(午後2時30分まで)

演奏会[3] ブラームスの夕べ
実力派メンバーで聴くブラームス。



 演奏会[3]では、ブラームスの名曲をお楽しみいただきました。
 『クラリネット五重奏曲』は、名曲ひしめくブラームスの室内楽曲のなかでも、大傑作という評価を得ている曲と言われています。演奏は、カール・ライスター、ピンカス・ズーカーマン、漆原啓子、豊嶋泰嗣、原田禎夫と実力者揃いです。
 もう1曲は、ブラームスが残した3曲のピアノ四重奏曲の中から『ピアノ四重奏曲 第1番』をお届けします。4楽章から成りますが、はじめほの暗い悲愴感と内部に秘めた情熱が交錯するかのような展開の後、光明が見え、終楽章は前進するエネルギーを得てジプシー調に力強く締めくくられます。こちらも、ダン・タイ・ソンほか、日本を代表する名手による演奏となりました。

演奏会[4] シューベルトの夕べ
実力派メンバーで聴くシューベルト。



 演奏会[4]では、シューベルトの作品から『八重奏曲』と『ピアノ五重奏曲「ます」』をお届けいたしました。演奏会[3]と同様、室内楽において最も重要な作曲家に焦点を合わせた演奏会です。
 『八重奏曲 へ長調』は、シューベルトの室内楽曲では最大規模の作品であり、ベートーヴェンの『七重奏曲』をモデルに作曲されたもので、楽器編成としては、ベートーヴェンのものに、ヴァイオリンが1挺追加されています。
 『ピアノ五重奏曲「ます」』は、親しみやすいメロディで、クラシック・ファンならずとも魅了される作品です。「ます」という題がついているのは、このピアノ五重奏曲の第4楽章にシューベルトの歌曲作品の「ます」の主題の旋律を用いていることによるものです。また、このピアノ五重奏曲はコントラバスも使われる楽器構成となっているのが特徴です。
 国内外のトップ・アーティストたちの共演による室内楽は、この音楽祭の中核とも言えるものです。室内楽の醍醐味を満喫していただける演奏会となりました。

演奏会[5] 巨匠たちによるフィナーレ
円熟のトリオとクヮルテット



 アイザック・スターンも出演する演奏会[5]は、贅沢な室内楽の夕べ。内容のぎっしり詰まった演奏会となりました。
 チャイコフスキーの『ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出」』の演奏は、ヤーノシュ・シュタルケル(チェロ)の長年のパートナーを務める実力派ピアニストの練木繁夫、この音楽祭の総合プロデューサーを初回から務めるヴァイオリニストの徳永二男、国際的な活動を続ける日本を代表するチェリストの堤剛。悲劇的で色彩豊かで、チャイコフスキーの全作品中の最高傑作と言われるこの大作を、国内のトリオとしては最高の組み合わせでお届けいたしました。
 そして、ヴァイオリンの巨匠アイザック・スターンが登場する曲は、モーツァルトの『ピアノ四重奏曲 第2番 変ホ長調 K.493』に決定いたしました。前回の音楽祭に引き続き出演する世界的ピアニスト、ジョーゼフ・カリクシュタイン、この音楽祭ではお馴染みの実力派のヴィオリスト川崎雅夫とチェリスト上村昇との共演となります。音楽祭の最終日を飾るこの演奏会。今から「ブラボー」という声が聞こえてきそうです。

●ご存知ですか?

アイザック・スターンは、1976年のカーネギー・ホールの存続を目的としたコンサート(スターン、バーンスタイン、ホロヴィッツ、メニューイン、ロストロポーヴィッチ、フィッシャー=ディースカウ、オラトリオ・ソサイエティ、ニューヨーク・フィルらが一夜のコンサートに出演した通称「史上最大のコンサート」)で、ピアノのホロヴィッツ、チェロのロストロポーヴィッチと『ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出」』を演奏しています。


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