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【公演レポート】シリーズ「Oh!My!クラシック」 ときめきは海を越えて ~人間国宝 玉三郎の音楽世界

更新日:2022年05月03日

5月1日も大盛況の中、無事に終了致しました。著名人による音楽談義を交えてお届けするで毎回、大好評のシリーズ「Oh!My!クラシック」。今回は歌舞伎俳優で人間国宝の坂東玉三郎さんをトークゲスト、聞き手に山根基世さんを迎えてお贈りしました。
前半は歌舞伎界にとどまらず、ジャンルを超えて活躍する世界の女形 坂東玉三郎さんの人生のお話を披露してくださいました。舞台に設置されたスクリーンにはお兄様が撮られたという子どもの頃の写真や、艶やかで美しい女形の大役“揚巻”の玉三郎さん(かつらや履き物を合わせると衣裳は40kgにもなるとのこと)、20世紀最大の振付家 モーリス・ベジャールとのツーショット、ニューヨークで打合せをするヨーヨー・マさんらとの打合せ写真など、さまざまな場面で活躍する姿が映し出されました。




歌舞伎の女形を通して、女性が美しく見える所作のお話では実際に手で物を指す仕草や、自分を指す仕草が年代によって変化する様を玉三郎さんが実際に披露すると、その美しい所作に会場からはため息が。聞き手の山根さんも「こうかしら?」とチャーミングに真似て、玉三郎さんのユーモアを引き出していました。



後半はいよいろ音楽談義。音楽はジャンルを問わず楽しまれるそうで、特に越路吹雪さんの歌がお好きとのこと。今回は大好きなオペラからプッチーニの歌劇『トスカ』とレハールの喜歌劇『メリーウィドウ』のアリアをそれぞれ生演奏でお聴きいただきました。
演奏はいつも玉三郎さんと一緒にコンサートやレコーディングをしている“玉三郎バンド”の皆さん、ヴァイオリン・吉田篤貴さん、吉田篤さん、ヴィオラ・村松龍さん、チェロ・ロビン・デュプイさん、ベース・西嶋徹さん、ピアノ・三枝伸太郎さんです。そして歌は、『トスカ』の「妙なる調和」と「星はきらめき」はテノール・井ノ上了吏さん。『メリーウィドウ』の「ヴィリアの歌」はソプラノ・山口道子さん。さらに「メリー・ウィドウ・ワルツ」はお二人のデュエットでお贈りしました。情感豊かな歌声、そしてマイクを使わない肉声の響きに会場は圧倒されました。





武蔵野音楽大学では特別招聘教授として、若いオペラ歌手を指導しているという玉三郎さん。どのように教えているのかという問いに、「“想念”(心の中に思い浮かべる考え)が大事です!どういうことかといいますと、、、」と、突然、大学の講義のような流れに、会場からは笑いがこぼれながらも、その奥深さと玉三郎さんのユーモア溢れる語り口に熱心に聞き入っているようでした。
そして今回のクライマックス。なんと玉三郎さんが歌を披露してくださいました。舞台の上で声を出すためのボイストレーニングをきっかけに、歌を歌うようになったといいます。曲はデュモン作曲「人生は歌だけ」、ソンドハイム作曲「センド・イン・ザ・クラウン」、ポーマス作曲「ラストダンスは私に」、デュモン作曲「水に流して」の4曲。美しい立ち姿から発せられる歌声に、お客様の感想では「まさか宮崎で玉三郎さんの歌が、しかも4曲も聴けるなんて!」「ストレートな歌い方がとても聴きやすくてブレスもきれいでした」と、充実の時間を過ごしていただいたようです。




さらに、終演してからの玉三郎さんの立ち去る後ろ姿も美しく、会場はその姿が見えなくなるまで、大きな拍手で見送っていました。




終演後、お客様にお話を伺いましたのでご紹介いたします。西都市からお越しのペンネーム麦畑さんご夫妻です。愛称の“麦畑”が可愛らしかったので由来をお伺いすると、ご友人の麦農家に影響を受けてご自身でも麦栽培を始めたそうで、収穫した麦はパンや焼き菓子にするとのこと。奥様は玉三郎さんのファンで、旦那様は「今日の公演でファンになりました!」と言って美しい立ち姿に驚かれたそうです。お二人はロビーに展示されていた今回の公演のリハーサル風景の写真をご覧になり、公演後も楽しまれた様子でした。
音楽祭では各会場のロビーには音楽祭公式カメラマンの三浦興一さんが撮影した写真をパネルを展示しております。公演前や休憩中、公演後にどうぞお楽しみください。(広報H)
photo:K.Miura

シリーズ「Oh!My!クラシック」
ときめきは海を越えて ~人間国宝 玉三郎の音楽世界

プッチーニ:歌劇『トスカ』から「妙なる調和」
プッチーニ:歌劇『トスカ』から「星はきらめき」
レハール:喜歌劇『メリーウィドウ』から「ヴィリアの歌」
レハール:喜歌劇『メリーウィドウ』から「メリー・ウィドウ・ワルツ」
デュモン:「人生は歌だけ」
ソンドハイム:「センド・イン・ザ・クラウン」
ポーマス:「ラストダンスは私に」
デュモン:「水に流して」

トークゲスト・歌:坂東玉三郎
聞き手:山根基世
ソプラノ:山口道子
テノール:井ノ上了吏
ヴァイオリン:吉田篤貴、吉田篤
ヴィオラ:村松龍
チェロ:ロビン・デュプイ
ベース:西嶋徹
ピアノ:三枝伸太郎