【公演レポート】演奏会〔5〕 「祝賀の舞」~ここに集い、明日を音祝ぐ
更新日:2022年05月19日
いよいよ音楽祭も最後の公演。今年はオーケストラとパイプオルガンの共演です!宮崎県立芸術劇場が所有する国産で最大のパイプオルガンと、ソリストとしても活躍する演奏者が集う宮崎国際音楽祭管弦楽団との共演。 開演前のプレトークでは、音楽監督の徳永二男さんと指揮者の広上淳一さんが音楽祭への思いなどを語りました。 一曲目は、指揮の広上淳一さんが師事した作曲家・尾高惇忠の楽曲を演奏。全15曲からなる「音の旅」から10曲を抜粋して演奏しました。穏やかでどこか懐かしさを感じる楽曲に心が温かくなりました。 そしてサン=サーンスの交響曲第3番 ハ短調 作品78「オルガン付き」。曲がスタートしてからしばらくはオーケストラの演奏。情熱的で、悲しみを感じるような演奏に引き込まれます。そしてついに加藤麻衣子さん演奏のオルガンが鳴り始めると、その荘厳な響きに客席の視線はオルガンへと集まります。音としてギリギリ認識できないような低音が会場中の空気を震わせ、オーケストラとは異なる音色でより楽曲に厚みをもたらしました。 休憩中にお客様2名にインタビューを行いました。 男性「オルガンとオーケストラを同時に聴ける。これこそこのホールの醍醐味ですね。大音響で、空気が震えるのを感じました。」 女性「前半の『オルガン付き』も、後半2曲もド派手でいいと思う。普段の音楽祭はラストはオペラでしたが、オルガンとオーケストラの共演も最後にふさわしいと思います。」 男性「広上さんの指揮が好きで。情熱的で、楽しそうに、体いっぱい指揮をしている。オーケストラの皆さんも広上さんに引っ張られてきっと楽しんで演奏してるんじゃないかなと思います。」 後半に入り、レスピーギの交響詩「ローマの祭」。パーカッションも10人と多く、マリンバやグロッケン、タンバリンなど、様々な音が聴こえてきます。マンドリンの切なく甘い音色にも心を奪われました。 そしてラストを飾る「ローマの松」は、まるで遊園地にいるような、楽しげでにぎやかな演奏からスタート。暗いシーンや、鳥の鳴き声等、いろんな表情を見せました。最後は音楽祭の終わりを惜しむように、激しく力いっぱい演奏して終演を迎えました。 鳴りやまない拍手に何度もカーテンコール。広上さんから「平和を祈ります」の一言とともに、アンコールの演奏が始まりました。マスカーニ作曲の歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲です。美しいメロディとオルガンの共演に涙をすする音もどこからか聞こえてきました。 終演後、インタビューをさせていただいたお客様から、「最後の曲は、優しく音が立ち上ってくるような音で、オルガンのいろんな音を聴くことができました。音に包まれるような感覚。この演奏を聴くことができて本当に良かったです」とお声かけいただきました。 尾高惇忠 :「音の旅」より サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 作品78「オルガン付き」* レスピーギ:交響詩「ローマの祭」* レスピーギ:交響詩「ローマの松」* <アンコール> マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲* 指揮:広上淳一 オルガン:加藤麻衣子* 宮崎国際音楽祭管弦楽団 photo:K.Miura