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ぷれぽ

公演レポート&インタビュー
―演奏会〔4〕 三浦文彰×辻井伸行 「黄金のふたり 魂のコンチェルト」―

更新日:2021年08月19日

 音楽祭も残り2日となった8月14日、演奏会〔4〕の公演を開催し大盛況のうち終了しました。

 1曲目に演奏されたのはチャイコフスキー作曲の「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」。「四大ヴァイオリン協奏曲」の一つとしても数えられ、チャイコフスキーが存命の頃から人気の高い名曲です。三浦文彰さんの奏でるヴァイオリンの甘くまろやかな音色と指揮・広上淳一さん、宮崎国際音楽祭管弦楽団が紡ぐ華やかな旋律に、至高の時間をお過ごしいただけたのではないでしょうか。



 休憩中に感想を伺ったのでご紹介します。市内からお越しのニックネーム・ゆっこさん。「こんな大曲をソリストとして演奏している三浦さんに惹き込まれました。三浦さんが音楽祭に出演した初めての演奏会から毎公演、観にきています。まだ幼さの残る頃から、音楽一家であるご家族や妹の舞夏さんの演奏も観ているので、親戚のような感覚でずっと応援しています。毎回、宮崎で演奏していただけて幸せです。壮大な素晴らしい演奏でした」。インタビューへのご協力、ありがとうございました。

 休憩を挟んで演奏されたのは武満徹 作曲『3つの映画音楽』。武満徹は熱烈な映画ファンとして、多くの映画音楽を手がけました。その中から、『ホゼー・トレス』より「訓練と休息の音楽」、『黒い雨』より「葬送の音楽」、『他人の顔』より「ワルツ」の3曲をみずから選び、弦楽オーケストラ用に編曲しました。作曲された年代も性格も異なる3曲を広上さんの指揮で弦楽器が演奏し、特に3曲目の「ワルツ」は広上さんの足元が踊るように楽しげに動き出し、奏者の華やかなドレスも相まって、まるで舞踏会のワンシーンのようでした。



 ショスタコーヴィチ作曲「ピアノ協奏曲第1番 ハ短調 作品35」の演奏はピアノ・辻井伸行さん、指揮・広上さん、管弦楽団、そしてトランペットは高橋敦さんです。「トランペット協奏曲」とも思われるような、トランペットが随所で活躍する曲で、高橋さんの配置もピアノを演奏する辻井さんの背後にスタンバイする珍しい楽曲です。辻井さんの超絶技巧のピアノ演奏に目を奪われ、その音にぴったりと寄り添い並走するような、高橋さんの高い技術から繰り出されるトランペットの音色に、客席は息も忘れて魅入っているようでした。




 演奏が終わると辻井さん、三浦さん、高橋さんも舞台に戻ってきて、広上さんが一言。「奏者のみんなから1曲プレゼントです!」とアンコールのアンダーソン作曲「忘れられし夢」を披露しました。辻井さんらの奏でる優しくはかなげな響きに、普段の窮屈な日常を忘れさせてくれるような、夢見心地のひとときを過ごしました。
 ご来場の皆さんをお見送りする際に、休憩中にお話をしたゆっこさんから「広上さんの指揮が華やかで素晴らしかったです!」と声をかけていただきました。存分にお楽しみいただけたようです。ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました。(広報H)




Photo:K.Miura

【演奏曲】
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
武満徹:3つの映画音楽
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番 ハ短調 作品35
<アンコール> アンダーソン:「忘れられし夢」

ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:辻井伸行
トランペット:高橋敦
指揮:広上淳一